フィリピン英語の特徴は?フィリピン人の英語力と訛りや発音ついて

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フィリピン英語の訛りや発音が気になる。フィリピンってそもそも英語?と疑問を持つ方はとても多いです。

当記事ではフィリピン人の英語力や英語教育の歴史、訛りや発音について解説しています。後半では「フィリピン英語留学」の活用法についても紹介します。

(2020年2月19日更新)

フィリピン人の英語力

フィリピンの島々

フィリピンは7,000以上もの島々から構成されている国家。文化や言語、人々の考え方にいたるまで、地域によって様々な特色があります。私たち日本人にはイメージしにくいかもしれませんが、実はフィリピンには100をも超えるローカル言語があり、今でもそれぞれの地域でコミュニケーション手段として使われています。フィリピン人の母国語は英語ではありません

例えば、首都マニラを含む「ルソン島南部」を中心に用いられている言語に、タガログ語(フィリピン語)があります。これは英語とともにフィリピンの公用語として定められている唯一の言語です。

また留学や観光地として人気が高い「セブ島」やミンダナオ島西北部で用いられているセブアノ語(ビサヤ語)があります。このエリアではタガログ語よりも、セブアノ語を話す人の方が多くなっています。これは関西弁や東北弁といったような方言ではなく、タガログ語とセブアノ語は相互に意思疎通のできない別々の言葉なのです。

しかし現代におけるフィリピン人の英語力は非常に高く、ビジネスシーンにおいてもフィリピン英語は世界中から認められています

bei_summary_2013 出典:Global English

上記は、2013年に実施されたGlobal English社(米国)による英語力調査で、フィリピンのスコアは「7.95」と世界トップクラスの評価をされています。また近年では、日本で普及している「オンライン英会話」でもフィリピンの先生が目立っています。

多言語国家であるフィリピンに英語が浸透した背景には一体何があったのでしょうか。様々な諸説がありますが、まずはフィリピンの歴史を紐解いてみると何か見えてくるかもしれません。

フィリピン英語の歴史背景

20世紀に入るまでフィリピンを統治していたのは「スペイン」でした。その後、20世紀に入り「アメリカ」による統治時代が始まりました。主にこの二つの出来事が、現代のフィリピン言語に影響を与えていると言われています。特にフィリピンがスペインの植民地であった時代は長く、タガログ語はスペイン語の影響も受けています。

例えば、スペイン語で元気ですか?というのは、Como esta? (コモエスタ)と言いますが、タガログ語で元気ですか?は、Kumusta ka?(クムスタカ)と発音が似通った借用語が用いられています。またセブアノ語のアノという部分もスペイン語のアノ(ano)を地名(セブ)に付けたものだと言われています。

19世紀末にはフィリピンからスペインへ留学する人々が増えたり、現代においてもスペイン系の家系を持つというフィリピン人は少なくありません。植民地として支配されていた厳しい過去の中で、スペインとフィリピンは互いに影響を与え合ってきました。

その後、20世紀に入りアメリカの統治時代が始まると、植民地施策の一環として「英語の公用語化」が図られます。公立小学校をはじめとした教育の拡充を通じて、一気に英語の普及が進みました。また地理的な背景から多言語国家であったフィリピンには、異なる島の人々と話すために英語という「共通語」が必要でした。

現在のフィリピンにおける学校教育のほとんどが英語で行われているのも、この時代からの言語政策が影響しています。1987年にタガログ語が公用語と定められるまでは、フィリピンの公用語は英語のみだったとも言われています。

今ではタガログ語と英語が混ざったタグリッシュ(Taglish)という新しい言語を話す人々が増えており、フィリピン人にとっての英語はネイティブではないものの「第二の母国語」と言っても過言ではありません。このような歴史的な背景によって英語が浸透し、フィリピン人は高い英語力を身に付けました。

フィリピンの英語教育

フィリピンの子供たち

現代のフィリピンの小学校教育では、国語や歴史などの一部教科を除く授業が英語で行われています。幼い頃から英語を聞いたり、話したりする環境があるため、高校を卒業する頃には、ほとんどのフィリピン人が「日常会話以上」の英語をこなすことができます。

町のいたるところにある道路標識や広告、看板などの多くは英語表記です。さらには新聞や雑誌も英語で制作されているものが中心で、特に映画館で上映されている映画は字幕が付いていないものもあります。こういった点からも庶民の英語力の高さがうかがえます。

大学卒業レベルのフィリピン人になると、英語力はさらに高い水準になります。講義は英語中心に行われ、論文や研究を全て英語でこなすなど、難易度の高い英語に触れる機会もあります。

フィリピン人に英語が必要な理由

歴史的な背景から英語の普及が進んだフィリピンですが、現代のフィリピン人には英語を積極的に学ぶ理由があります。それは「海外への出稼ぎ」や国内の優良な仕事に就くために、高い英語力が求められるということです。

例えば、フィリピンの一大産業にコールセンター業務があります。主に米国企業の電話応対を英語で対応するというもので、首都マニラを中心にコールセンタービルが軒を連ねています。コールセンターの給料は一般水準よりも高く、職に就くためには高い英語力が必要となります。

またフィリピンには、海外への出稼ぎ労働者が多くいます。海外からフィリピンに仕送りされるお金が経済の根幹を支えているといっても過言ではありません。多くは中東やアジアへの出稼ぎですが、なかには英語圏でハイクラスな仕事に従事するフィリピン人もいます。フィリピン人にとっての英語は自分のキャリアを広げ、家族を養える最高のスキルと言えます。

フィリピン英語の課題と現実

一方、米国企業による調査や表面的に語られるフィリピンの英語教育には、現地に足を運んでみないと気付かない現実があります。それはフィリピン人の就学率が日本のように高くないということです。

先ほど紹介した米国企業による調査は「職場で使用する英語力」を基準に測定されたものです。コールセンターなどのオフィス業務に就ける人は、大学の学費を払えるぐらい経済的に恵まれおり、高水準の教育を受けることができた人々です。つまり、教育をしっかり受けてきたフィリピン人の英語力は確かに高いと言えますが、町にいる全ての人々が流暢に会話できるというわけではありません。

2014年に発表された大和総研のリサーチでは、フィリピンの初等教育就学率はASEAN各国の中で最低水準にあるとされています。

ASEAN初等教育就学率の比較表 出典: 大和総研

ドロップダウン(途中で学校に行けなくなる)率は約25%、フィリピン人の4人に1人が貧困的な問題等により就学の断念を余儀なくされています。

英語学校の講師の実力

さて、ここからは話を「英語留学」に移します。教育をしっかり受けたフィリピン人の英語力は高いと言えますが、学校講師の英語力はどれくらいなのでしょうか。

一般的に学校の講師は、コールセンターほどの高給取りではありません。コールセンターに集まる人材と英語学校に集まる人材では、コールセンターの方が優秀と捉えられることが多いでしょう。

しかし、英語学校の基準が低いということではありません。ほとんどの学校が大学既卒、もしくは大学卒業程度の英語力を持っていることを採用条件に定めています。また講師という職業上、働いてからも英語の勉強を継続することになり、優秀な学校は「講師の育成」にも力を注いでいます。

コールセンターはアメリカとの時差から深夜勤務があるため「きつい仕事」としても認知されています。その点、英語講師は教えることを好きな人々が、やりがいを求めて講師になることもあります。少なくとも、私たち日本人の留学先としては、十分すぎるほどの英語力があると言えます。

とは言え、英語力が高いことと、英語の特徴(発音や訛り)はまた別の話だと考える方も多いのではないでしょうか。次にフィリピン英語の特徴について見てみましょう。

フィリピン英語の特徴(訛り・発音)

アメリカの影響で普及が進んだフィリピン英語は、アメリカンスタンダードに基づいており、基本的には「北米英語」に似ているとされています。

しかし現代のフィリピン人が話すタグリッシュ(英語とタガログ語の混在)のように、母語であるタガログ語やセブアノ語(セブ島周辺の母語)が影響しているため、フィリピン英語には独特な発音や訛り、造語などが確実に見受けられます。

例えば「goとcome」や「takeとbring」を明確に区別しないといったようなタガログ語からの影響も見られます。

訛りや発音による影響

フィリピン人の中でも、それぞれ発音や話し方が異なり、フィリピン英語には訛りがあります。しかし英語学習を検討する上では「その国の発音や訛りが、自分の英語にどう影響するか」ということが重要なポイントです。

筆者の考えでは「話すこと」については、訛りや発音が、短期間で影響することはありません。では、何が影響するの?ということですが、一番影響しているのは私たちの母国語である「日本語」です。

初めて英語を話した時、RとLの発音の違いで苦しんだことはないでしょうか。例えば「Really」という単語の発音が上手くできなかったり、英語圏の国で水(Water)を頼めなかったなんてことはよくある話です。これは母国語である日本語の訛りが影響しています。特に英語初心者にとって、スピーキングで大事なことは、どこで学ぶかではなく「日本語訛りから抜け出す」ことです。

一方でリスニングについては、どこで学ぶかということが多少なりとも影響してきます。これはフィリピンに限ったことではありませんが、例えば、イギリスに留学していた人がオーストラリアへ訪れた時、英語を聞き取りにくいと感じることがあります。フィリピンでも聞き慣れた英語を基準にすると、違う国の人から聞く英語は異なって聞こえるものです。

英語は世界で約15億もの人々が学んでいるとされています。2番目に学ばれているフランス語(8,200万人)、3番目の中国語(3,000万人)を見てみると、英語を学んでいる人の数は圧倒的です。それぞれの国が自国の英語にプライドを持っていたり、アメリカだけを見ても、都市によって訛りは様々です。各国で発音や訛りが異なっても、15億もの人々が学んでいるからこそ、意思疎通のツールの一つとして、英語が成り立っており英語を学ぶ価値があるのです。

そして英語留学においても、発音や訛りを重要視するより、まずは「何のための英語学習か」を考えることが大切です。

英語留学の目的を考える

あなたの英語学習の目的は何でしょうか?なかには、TOEICの点数だけ上がればよいという方や、論文を読んだり、エッセイを書いたりすることが学習の目的という方もいます。しかし多くの方にとって、学習の最終目的は「コミュニケーション」ではないでしょうか。

コミュニケーションのための英語

英語は言語であり、言語は「コミュニケーションの手段」です。正しい英語よりも、まずは「伝える」ということにフォーカスしてみましょう。

これまで日本の英語教育は「読み書き」を中心とする学習が基本でした。時代に流れによって、少しずつコミュニケーション重視の学習にシフトしているものの、まだまだ日本人の英語コミュニケーション力は低いと言わざるを得ません。

例えば「文法学習」も基礎を身につけるためには必要です。しかし学習バランスが文法に偏りすぎると「正しい英語の使い方」にこだわり過ぎてしまい、本来の目的である「伝える」ということをおろそかにしてしまいます。

過去系にすべきところを現在系で話してしまった時、間違った!と少し恥ずかしくなりませんか?少しでも恥ずかしく感じるのは、日本人の英語感覚です。

世界を見渡せば、正しい文法を用いず、堂々と英語を話す人がごまんといます。もちろん正しい英語を身につけることは大切ですが、目的と手段の優先順位を誤ってはいけません。

フィリピン英語留学の活用法

セブ島留学のマンツーマン

フィリピン英語留学は、このコミュニケーション英語の学習に最も向いています。一般的にフィリピン留学の利点は「費用の安さ」や「日本からの近さ」という意見が目立ちますが、実は「マンツーマン授業の多さ」も重要なポイントです。

フィリピンは欧米先進国に比べ、人件費(講師にかかる費用)が安いことから、マンツーマンでの学習スタイルが主流となっています。マンツーマン授業は恥ずかしがり屋の日本人にとって、一目を気にせず話せる機会です。自然と発言回数も多くなり、コミュニケーションの練習ができる絶好の環境と言えます。

コミュニケーション英語の基礎を築く

フィリピン英語留学の平均期間は「1ヵ月」と欧米留学に比べ短めです。ワーキングホリデーや長期滞在を通じて、英語を学ぶスタイルではなく、短期間で英語を詰め込むスタイルです。そのため、フィリピン留学に参加する方の多くが「英語初級者」です。

最近では欧米留学を検討している人でも、欧米留学前にフィリピンで基礎を学ぶ「二カ国留学」という流れもできつつあります。また逆にオーストラリアやカナダから、フィリピンに再留学する方も少なくありません。「コミュニケーション英語の基礎を築くこと」これが第一の活用法です。

短期間で留学する

フィリピン留学が主流になるまでは、日本と留学先の距離的な問題から、1ヵ月未満の留学はあまりメジャーではありませんでした。しかしフィリピン・セブ島には毎年多くの方が1週間や2週間といった「短期留学」に訪れています。

1週間単位で期間を設定できるのもフィリピン留学の特徴です。社会人の方であれば「ゴールデンウィーク」や「お盆休み」学生の方であれば「春休み・夏休み」を活用しながら留学できます。

英語テスト対策に利用する

フィリピンの学校産業が盛り上がるにつれて、様々なタイプの語学学校が出てきています。コミュニケーションとしての英語だけではなく、TOEIC、TOEFL、IELTS、ケンブリッジ検定といった英語テスト対策に力を入れている語学学校もあります。スパルタ式を採用している学校では、一日の勉強量はかなりのものになります。短期的なスコアアップを目指したい方も、積極的に活用してみましょう。

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この記事を書いた人:山田 貴大
フィリピン・セブ島専門の留学サービス「セブ島留学センター」の代表。関西大学在学中に6ヶ月のセブ留学を経験。2012年に事業設立。これまで80校を訪問し、約5,000名の留学生のお手伝いをさせていただきました。